不動産ビジネスは歪んでいる

 
不動産には事実上”市場”は存在しない。
そんなことをいうと、
 
「そんなまさか」
「SUUMOがあるだろ?」
 
そんな声が聞こえてくる。
ではよく考えて欲しい。金融商品(株や債権)の様に日本で唯一のマーケットが不動産にあるのかどうか。
 
不動産は仲介業者を介してやりとりされる。つまり、仲介業者が主催する小さな市場は存在するが、日本全土で共通の市場は存在しないのだ。
 
そして、不動産市場には今、極めて大きな歪みが存在する。 
身の丈にあった物件を買うことができない、というジレンマだ。
 
このジレンマを理解するためには、まず不動産屋のビジネスを理解する必要がある。
不動産仲介業者のビジネスモデルは手数料ビジネスであり、仲介金額が高ければ高いほど儲かるビジネスだ。また同時に売買相手を見つけることに苦労するビジネスである。そのため一定以上の価格が見込める物件しか、一般人の目に触れる水面まで浮上しない。
つまり、良い売り物を、金を持っている人間が買っているにすぎず、価値のつきにくい物件をお金のない人が買うことは極めて困難な状況にある。(この状況に拍車をかけているのが、日銀のマイナス金利政策による銀行の収益圧迫であることも見逃せないが、本論から外れるため詳細は別の機会に)

一方で日本国内には空き家が大量に放置(価値のつきにくい物件)され、所得格差も開き続けている。つまり、低価格不動産を低所得者向けに仲介する市場を構築する必要性が出てきている。しかし前述の様に物件の金額が小さいと手数料が大きくならず、ビジネスとして効率が悪くなるため、この様なビジネスは出てきていない。
 
それなら、手数料ビジネスをやめて(ビジネスモデルにイノベーションを起こす)、新しい流通の形を作ればいい、という発想になる。
そこでぶつかる壁は、国の制度や裏社会との絡みである。これらを乗り越えるためには海外からの殴り込み、という流れが1つの手段だろう。いづれにせよ、B2CもB2Bも現状の不動産ビジネスは行き詰まっている。地殻大変動へのうねりは十分に溜まっている。